蒸気圧測定とは?測定方法と測定機器を紹介

蒸気圧測定とは?

蒸気圧とは密閉された容器内で液体とその蒸気が平衡状態にあるときに発生する圧力を指します。液体が蒸気と平衡に達したときの圧力で、温度が高いほど大きくなります。例えば、プロパンやブタンは常温で高い蒸気圧を持ち液化しやすい一方、水は蒸気圧が低いため常温では液体のままです。

JISK2258の蒸気圧測定では、所定温度(37.8℃)で試料を密閉し平衡到達後の圧力を測定します。ガソリンでは蒸気圧がエンジン始動性や安全性に直結するため、法規で上限が定められています(寒候用:上限値93kPa/夏季用:上限値65kPa)。一方、塗料・溶剤・化成品などでも蒸気圧はVOC(揮発性有機化合物)排出や引火リスクに関わる重要物性であり、研究から品質管理まで幅広い場面で必要となります。

代表的な蒸気圧測定法

リード法(JISK2258-1 )

リード法(RVP)は1930年代から用いられる蒸気圧測定法です。JISK2258-1では、試料と空気(1:4)を封入したシリンダーを37.8 ℃で振とうし、平衡圧を測定します。大気圧の影響を補正するため、得られるRVPは37.8 ℃での絶対飽和蒸気圧に近い値です。

準備に時間がかかり、試料は700~800mlと多量に必要です。測定時間も約1時間ほどかかります。

3回膨張法(JISK2258-2)

近年は、3回膨張法が新たな標準法として普及しつつあります。Grabner社が考案しASTM D6378で規格化し、現在はJISにもJISK2258-2として規格化されています。小型密閉セルを用い、ピストンで容積を3段階に拡張する点が特徴です。試料を満たした後、ピストンで容積を3段階に拡張し、その都度平衡圧を測定します。圧力変化から空気分圧を算出して差し引き、純粋な蒸気圧(VPₓ)を求めます。溶存空気を補正できるため、真の蒸気圧を直接求められる手法です。試料が少量で、測定時間が15分程度と短いことが特徴です。

3回膨張法は小型・軽量機器で高速測定が可能なことから、製油所の現場分析から移動計測車に至るまで幅広く活用され始めており、「旧来のリード法に取って代わる新標準」として定着しつつあります。

3回膨張法自動蒸気圧試験器「MINIVAP

ここでは3回膨張法を採用した最新鋭の自動蒸気圧試験器、「MINIVAP」シリーズを例に、その優れた性能をご紹介します。

MINIVAPの詳細はこちらから

  • 高精度な蒸気圧測定を実現する革新的技術
    MINIVAP VP/VPL Visionは、0~2000kPa(290psi)までの広範囲な蒸気圧を正確に測定可能です。Grabner Instruments独自の「2D-Correction™(273点補正)」技術と精密なピストン制御により、全測定範囲で再現性の高いデータ(≤0.2kPa)を提供します。信頼性の高い測定が可能です。
  • 多様なサンプルに対応した柔軟性
    ガソリン、ジェット燃料、原油、LPG、溶剤、ディーゼル、香料など、低揮発性から高揮発性まで幅広い試料に対応。クロスコンタミネーションを防ぐ「Sampling Pro™バルブ設計」により、試料の切り替えもスムーズで、ラボの効率化に貢献します。
  • 直感的な操作と遠隔管理機能
    10インチの大型タッチスクリーンとスマートフォンのようなインターフェースにより、誰でも簡単に操作可能。さらに、Cockpit™ PCソフトウェアを使用すれば、VPN経由で世界中のMINIVAP機器を遠隔管理・診断・アップグレードでき、保守性と運用性を大幅に向上させます。
  • 過酷環境でも使用可能な堅牢設計
    振動・衝撃・高温・低温・湿度などの耐久試験に合格しており、モバイルラボや屋外環境でも安心して使用できます。現場での信頼性を重視するユーザーに最適な試験器です。

MINIVAPの詳細はこちらから

蒸気圧の活用事例

VOC規制・危険物規制対応

蒸気圧の高い有機溶剤はVOCとして放散しやすいため、PRTR法や大気汚染防止法の規制対象です。そのため、事業者は低蒸気圧溶剤への置換や排気装置で排出を抑制し、蒸気圧データを用いて取扱量や換気基準を管理します。

貯蔵・輸送タンクの安全設計

タンクやローリーでは内容物の蒸気圧に応じた耐圧設計が必須です。蒸気圧曲線から温度上昇時の内圧を予測し、安全弁やブリーザーバルブ、蒸気回収装置で過圧を防ぎます。海上輸送では蒸気圧に応じて充填率が規定され、膨張による破裂を回避します。

塗料・溶剤の品質保証

塗料やインキは蒸気圧で乾燥速度が決まります。蒸発が速すぎると肌荒れ、遅すぎると乾燥遅延が起こるため、メーカーは配合溶剤の蒸気圧を測定し、規格内に収めて品質を安定させます。ユーザーも簡易試験で受け入れ品の揮発性を確認します。

R&Dにおける配合設計・沸点予測

新燃料や溶剤の開発では、目的の揮発性を得るために原料比率を試算し、混合系の蒸気圧を理論計算と実測結果で検証します。また、真空蒸留設計では蒸気圧曲線から必要減圧と加熱温度を見積もり、プロセス条件を最適化します。

まとめ

蒸気圧は燃料の始動性やVOC規制、タンクの安全設計などに直結する重要物性です。測定法は古典的なリード法から3回膨張法へと進化し、試料量は約700 mL・1時間超から、1 mL・15分程度へと大幅に短縮されました。高精度で迅速な蒸気圧データを取得することで、迅速な品質確認や研究・開発サイクルの短縮とリスク低減が期待できます。

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