特許技術「空気加圧法」
「空気加圧法」とは、試料表面を微加圧することで生ずる液面の僅かな低下を敏感にキャッチするシステムです。
この方法は、原理的にパラフィンワックスの網目の乱れ方が少ないので、1°C毎の検出動作を繰り返しても流動点が低下する傾向を最小限に抑えることができます。
このため従来の「傾け法」では考えられなかった高精度を実現し、1°C毎の流動点管理に大きく前進しております。2001年にはこの「空気加圧法」が自動流動点試験法として米国規格のASTM(規格番号:ASTM D6749)として採用されました。その後、曇り点試験法が同じくASTM規格(規格番号:ASTM D7683)として採用されました。
空気加圧法のメリット
1°C毎の流動点管理が可能
当社の特許技術「空気加圧法」はASTM採用時の照合試験において、高い精度が確認されております。
室内併行精度 | 1°C (1°C毎の流動点測定時) |
---|---|
室内再現精度 | 2°C (1°C毎の流動点測定時) |
この高精度は、当社独自の「空気加圧法」によって達成されました。
試験の合理化
「空気加圧法」の採用は、試験の大幅な合理化にも貢献しております。
この方法は試験管を傾ける必要がないため、曇り点試験と同様試験管直立の状態で行えます。
このため、曇り点・流動点の連続測定が可能となり、1回の試験で2項目の試験結果を得ることができます。
試料量は僅か4.5 mL
試料量が僅か4.5 mL程度と少量なため、ペルチェ素子による電子冷却システムで十分な冷却能力が得られます。
これに伴い大型冷凍機は不要(補助冷却用として小型の冷却液循環装置は必要)となり、メタノール循環等の煩わしさが一掃され、環境配慮とコストダウンを同時に達成しました。
また、少量試料は温度分布も小さく抑えられるので安定した温度検出が見込めます。
これによって高精度を実現しております。
試験時間を大幅に短縮
MPCシリーズの冷却方法は、定速降温制御(通常、予期流動点手前40°Cまで4°C/min、以後1°C/min)になっております。
これによって、低温域になればなるほど従来のステップ降温制御よりも、大幅に試験時間が短縮されました(下表参照)。
サンプル名 | 流動点(°C) | 自動傾け法による 試験時間(分) |
MPCシリーズによる 試験時間(分) |
---|---|---|---|
軽油 | -10.0 | 80 | 30 |
-32.5 | 140 | 45 | |
A重油 | -12.5 | 80 | 30 |
-27.5 | 130 | 35 | |
C重油 | -10.0 | 90 | 55 |
-20.0 | 115 | 60 |
空気加圧法を採用したMPCシリーズ(現行機種:mpc-6)
特許技術「空気加圧法」を採用した当社のMPCシリーズ(自動流動点・曇り点試験器)は、1997年の発売以来、各方面で高い精度と処理能力を発揮しています。