2010年8月30日
田中科学機器製作株式会社
独立行政法人 日本原子力研究開発機構
石油製品中の硫黄濃度を簡便に測定できる
エネルギー分散型蛍光X線分析装置の高精度化に成功
石油製品の品質管理用計測機器類を製作し国内外に販売している田中科学機器製作株式会社(本社:東京都足立区綾瀬 社長:下平克彦、以下「田中科学」)は、独立行政法人日本原子力研究開発機構(本部:茨城県那珂郡東海村 理事長:鈴木篤之、以下「原子力機構」)の協力を得て、検出限界を同社従来製品比で1/3に改善したエネルギー分散型蛍光X線硫黄分分析装置の開発に成功しました。開発にあたっては、原子力 機構が保有する高度な放射線輸送評価技術およびエレクトロニクス技術を活用して、測定信号に含まれるノイズを極限まで抑制しました。
田中科学は過去20年に亘って、品質管理現場用に、簡単な構造で操作性を重視したエネルギー分散型蛍光X線硫黄分分析装置を製造して国内外に販売してきました。
しかし近年大気汚染をはじめとする地球環境の悪化を回避するために、世界中で石油製品中の硫黄分(硫黄含有量)の低減化が図られてきており、分析装置メーカーは硫黄分を測定するため に測定精度の向上を実現することがますます強く求められています。
波長分散型蛍光X線分析装置等と比較して構造が簡単で操作性も良好なエネルギー分散型蛍光X線分析装置で硫黄分を高精度に測定するためには、測定系のバックグランドノイズを低減すると同時に、低濃度の硫黄から発生する微弱な蛍光X線信号の検出を実現することが必要です。これについて相談を受けた原子力機構は、シミュレーション評価技術及び検出器エレクトロニクス技術の高精度化の協力を行いました。この結果、試料照射用X線発生部から蛍光X線検出部までの放射線輸送が最適化され、また微弱な蛍光X線信号を増幅して正確かつ高速でカウントするエレクトロニクス部が新たに開発されました。これらの高精度化改良設計によって、従来製品より短い測定時間でより低い硫黄分の測定が実現できました。
今回開発したエネルギー分散型蛍光X線硫黄分分析装置は、9月1日から3日まで千葉県幕張メッセ国際展示場で開催される分析展2010・科学機器展2010(社団法人日本分析機器工業会と日本科学機器団体連合会との合同開催)に出展展示される予定です。 なお、田中科学は年内には国内をはじめ全世界向けに製品の販売を開始する予定です。
以上
参考URL(独立行政法人 日本原子力研究開発機構のプレス発表)
http://www.jaea.go.jp/02/press1.shtml